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夢色恋歌

TW3 ユーフェリア・クロス(c11719)の気まぐれ日記帳。
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ある青年の見た夢



それは、遠く…儚い、夢物語。


何があったのか僕にはわからないけれど
ここ数日、家の中が慌ただしい。
それが原因かわからないけれど
母上の顔色も酷く悪くて…気がかり。
早く治る様…星空に向かい、祈りを捧げているけれど
効果は未だあらわれていない。
きっと、祈る気持ちがたりないのかな。
今日はいつも以上にたくさんのお祈りをしよう。

でも、まずは…
心がやすらかになるお茶を入れて
母上と一緒にお茶会をしよう。
大好きな甘いケーキを添えれば、きっと…
「少しでも、気分が晴れるといいのだけれど…」

そして、ハーブティーとケーキを持って
母上のお部屋に。
こぼさない様に慎重に、運ぶ。

「母上、…です。入ってもいいですか?」

しばらく待っても、返事がないのを不審に思い
もう一度ノックをする。

「母上?どうかなさいましたか?」

不作法だとわかっていたが、心配になり
部屋の扉をそっと開ける。
そこには、はらはらと美しい涙を流し
哀しみの声を抑えている、母上の姿が。
慌ててテーブルの上に持ってきたものを置き
母上のもとへ。

「母上?何かあったのですか?」

ゆるりと頭を振り、視線を合わせる様に
床へと腰を下ろして、そっと告げる

「いいえ…貴方が心配することは、なにもないのよ?」

美しい顔を悲しみで歪ませた女性…母上が、
まるで自分に言い聞かせるように告げた。

「母上…?」

違和感を感じながら、そっと告げるが

「今日から貴方の呼び名は、可愛いらしく…リアにしましょうね。
どうか、『はい』といって…わたくしを安心させて、可愛いリア。」

麗しい顔に真珠のごとき涙を浮かべながら
唯々首を振り続け、語りかけてくる。
その姿に否とは言えず、こくりと頷く。

「はい、母上。」

その返事を聞き、そっと目を伏せ

「わたくしのことはお母様、と。貴女自身の事は私、とおっしゃって?
それから、優しい言葉遣いをしましょうね。
大丈夫、貴女は賢い子ですもの。すぐに、慣れるから…大丈夫、ね…?」

理由もわからず混乱する頭。
それでも、わかるのは…この優しくて、愛しくて、哀しい女性を
安心させてあげたい。
ただ、それだけ。

「はい、お母様。」

いい子…とばかりに、そっと頭を撫でる優しい手。
その手に惹かれて、衣裳箪笥へ。

「そうそう、お洋服も新調しましょうね。
貴女の髪の色が映える…真紅のものにしましょう。
形は、わたくしのお母様の国のものにしましょうね?
きっと貴女によく似合うわ。
それまで、お母様が大切にしていたこの服で我慢して…?
可愛いリア」

手にしているのは、可憐な…女の子用の服。
言葉遣い、洋服…
何があったのかはわからないけれど、
これだけはわかる。
これからは、女の子の名前・格好をして、女の子の様に過ごす。
今まで過ごしてきた日々とは、きっと想像もつかないくらい
窮屈な生活になる。
それでも…

「お母様が大切にしていたお洋服を着れるなんて、嬉しい。
だから、そんな顔をしないで…お母様?」

これ以上哀しい顔をさせたくなくて、必死に言葉を紡ぐ。
大丈夫、姿形や言葉遣いが変わっても、
僕は僕だから…
もう、哀しまないで、母上?


……………

頬を流れる涙の感触に、ふと意識が浮上する。

「………相も変わらず、哀しい笑顔」

軽く頭を振り、頭をゆるりと覚醒させる。

「それにしてもまた、随分懐かしい。
もう、見ないと思っていたのに、ね」

苦笑を浮かべつつも、ゆるりと涙を拭う。

「さすがに眠る気分ではないし…久しぶりに、外に飲みに行こうかな。
偶には、朝までというのも悪くないしね。」

そう決めてからさっと支度をする。
馴染みの酒場へと向かうために
一時の安らぎを得るために…

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